造船不況に揺れる 北国の架空の港街
海炭市
そこに住む人たちの 切なく辛いエピソードを綴った物語。
架空の街 海炭市 は 函館市そのもので
この映画は 函館で生まれ41歳で自死した不遇の作家
佐藤泰志の短編集を原作とし 彼の作品を映画化しようとした
函館市民の手作りの映画と言っていい作品。
海炭市の クリスマスから年明けにかけて
複数の人生が交差していく 失業や裏切り、暴力や挫折
暗い北国の冬の風景の中で 切なく静かに語られていく。
観了後に知ったのだが
主要な登場人物の一部は 地元の素人の方が演じられている。
トキ婆さんなど 清川虹子が蘇ったと思うほどの
素晴らしい存在感をだしておられた。
そして この様な映画を撮られた監督や脚本家の方が
30代の若者であることにも驚きを覚えた。
街の風景と 人々の生きざまがシンクロして
152分の長尺を充分に堪能させてくれた。
映画を造る人々の意欲がしみじみと伝わってくる
素晴らしい作品だと思う。
ただ ひとつ
なぜ彼は あの行動をとらなければいけなかったのか
美月ちゃんが可哀そうすぎるじゃないか。